
BARのカウンターにタイルを施工させていただきました。
施工をしながら、ふと思ったことがあります。
タイルが、お店にとても良い化粧をしている。
そんな印象でした。
タイル職人なので、普段はどうしても、
まっすぐ張れているか。
目地は揃っているか。
不陸はないか。
納まりはきれいか。
そんなところを見ています。
でも少し離れてカウンター全体を見たとき、今回はそれとは違うタイルの役割を感じました。
お客様は、どこを見てお店に入るのか
今回施工したBARカウンターは、店舗の外からも見える位置にあります。
夜、街を歩いている人が、ふと店内を見る。
まだ料理も食べていない。
お酒も飲んでいない。
接客も受けていない。
それでも、
「なんかいい店だな」
「ちょっと入ってみたいな」
と感じることがあります。
その気持ちは何によって生まれるのでしょうか。
照明。
家具。
入口。
音。
人の雰囲気。
いろいろあると思います。
そして、素材もその一つです。
今回のカウンターでは、光沢のあるタイルが照明を受けて、一枚一枚違った表情を見せています。
外から見ても存在感があり、店内へ入るとさらに素材感が伝わる。
タイルが、お店の第一印象をつくる一部分になっていました。

タイルは「必要だから張る」だけではない
店舗でタイルが使われる場所というと、
トイレ。
洗面。
厨房。
水まわり。
どうしても機能が必要な場所を思い浮かべます。
水に強い。
汚れを落としやすい。
耐久性がある。
もちろん、それらはタイルの優れた部分です。
でも、それだけではないと思っています。
タイルには、
空間の印象をつくる力があります。
だから今回のように、機能上どうしてもタイルでなければならない場所ではなく、
「ここを見せたい」
という場所にタイルが選ばれることに、自分はタイルの魅力を感じます。
すべてを良い材料にする必要はない
店舗をつくるには予算があります。
すべての床。
すべての壁。
すべての家具。
全部を高価な材料で仕上げることは現実的ではありません。
だからこそ、
どこに良い素材を使うのか。
という考え方が大切なのだと思います。
入口から一番最初に見える場所。
お客様が長く座る場所。
写真を撮りたくなる場所。
外から店内を見たときに目に入る場所。
そうした「顔」になる部分に素材感のあるタイルを使う。
それだけでも、お店全体の印象は変わります。
今回のカウンターを見て、改めてそう感じました。
人は、タイルそのものを覚えていないかもしれない
お店から帰ったあと、
「あのタイルは縦何ミリだった」
「目地は何ミリだった」
そんなことを覚えている人は、ほとんどいないと思います。
それでいいと思っています。
代わりに、
「なんとなく格好よかった」
「雰囲気がよかった」
「また行きたい」
という感覚が残る。
タイルが、その”なんとなく”の一部になればいい。
自分はそう思っています。

タイルを張ることは、目的ではない
職人として、タイルをきれいに張ることは当然大切です。
でも、それだけで仕事が終わるわけではないと思うようになりました。
そのタイルが、
どんな光を受けるのか。
どこから見られるのか。
家具が入ったらどう見えるのか。
お客様が座ったときにどう感じるのか。
店舗の外から見たときに、どんな印象になるのか。
完成した空間まで想像する。
そうすると、
「タイルをどう張るか」
だけではなく、
「なぜここにタイルを使うのか」
まで考えるようになります。
タイルを、お店のお化粧に
今回のカウンターを施工して感じた、
「タイルが良い化粧になった」
という感覚。
化粧は、別のものに変えるためではありません。
その人がもともと持っている魅力を、より引き出すものだと思います。
店舗に使うタイルも、同じなのかもしれません。
建物そのものを変えるのではなく、
そのお店が持っている世界観や雰囲気を、少しだけ際立たせる。
タイルには、そんな使い方があります。
すべてをタイルにしなくてもいい。
でも、
一番見せたい場所に、良い素材を使う。
そこにタイルが選ばれること。
それは、タイル職人としてとても嬉しいことです。
タイルを張ったことではなく、
そのタイルによって、
「なんか、この店いいな」
と思ってもらえること。
そんな空間づくりの一部になれたらと思っています。
玉寄タイルは、タイルを張るだけの会社ではなく、タイルを使って空間の印象を整える専門職でありたいと考えています。
埼玉県川口市を拠点に、東京都・埼玉県を中心として、店舗・住宅・マンションのタイル工事に対応。
設計意図を理解し、割り付け・目地・納まり・素材の見え方まで考えながら、空間に合う施工をご提案しています。
