60年以上、美しく残るタイル。横浜OMO7で改めて感じた、未来へ残す建築の価値

横浜OMO7を訪れたとき、一番印象に残ったのはホテルの豪華さではありませんでした。

そこにあり続けるタイルです。

この建物は、建築家・村野藤吾氏が設計した旧横浜市庁舎行政棟の歴史を受け継ぎ、新たなホテルとして生まれ変わりました。

館内には1959年当時から残されている床タイルや壁タイルが数多く残されていました。

一階ロビー床には二丁掛タイルまでの大きさはなく、
ボーダータイルほど細さはないタイル。拍子木型タイルを網代張り、ヘリンボーンという割付けで張られていました。

長い年月を経たタイルにはところどころヒビがありましたが丁寧な手仕事だとすごく伝わってきました。
歩く人を何十年も支え続けてきた床には、新品にはない深みがありました。

私はタイル職人なので、自然と仕上がりだけではなく、

「どんな施工をしたのだろう。」

「どう割り付けを考えたのだろう。」

そんなことばかり考えながら歩いていました。

目次

タイルは時間とともに価値を増していく素材

建築にはさまざまな建材があります。

しかし、タイルには他の素材にはない特徴があります。

それは、
適切な施工とメンテナンスが行われれば、何十年という時間を超えて使い続けられることです。

もちろん、ただ丈夫という意味ではありません。

年月を重ねることで、その建物の歴史や記憶まで受け継いでいける。

それがタイルという素材の魅力だと思っています。

実際に横浜OMO7では、60年以上経った今もなお、美しいタイルが空間の主役として存在していました。

それを目の前で見たことで、改めてタイルという素材の価値を実感しました。

古いタイルに、新しい命を吹き込む

さらに心を動かされた場所がありました。

建て替え前に使われていたタイルを再利用し、新たに釉薬を施してデザインウォールとして生まれ変わらせた壁です。

ただ保存するだけではない。

新しい建物の中で、新しい役割を与えられ、再び空間を彩っている。

一枚一枚違う表情を持ったタイルが集まり、新しい作品として完成していました。

量産品では表現できない。

職人の手仕事だからこそ生まれる美しさが、そこにはありました。

タイルは建物を守るために使われて、いつしか美しくするために。
人は、雨風を防げる建物をつくった後も満足はせず


色を入れ

模様を入れ

焼き物で壁と床を飾った。

そしてただ飾るのではなく、そこに年月という意味を持たせられるのがタイルの魅力だなと改めて感じました。

「早く・安く・簡単に」だけでは残せないものがある

建築業界では、

「工期を短く。」

「コストを抑える。」

「簡略化していく。」

そんな考え方が求められる場面も少なくありません。

もちろん、それはとても大切なことです。

しかし、その壁を見て感じたのは、

効率だけでは未来に残る建築はつくれないということでした。

解体によって生まれたタイルの裏のモルタルを剥がし
釉薬を施し
焼き直し
張り付ける。

もう一段手間をかけて一つの壁とした。これが残すということではないのか。
と考えさせられました。

どのタイルを使うのか。

どの向きで張るのか。

どんな目地にするのか。

どんな施工法で行うのか。

どんな空間を未来へ残したいのか。

そうした積み重ねが、何十年後にも価値を持つ建築をつくるのだと思います。

玉寄タイルが目指すもの

玉寄タイルは、ただタイルを張る会社で終わらせたくないと思っています。

目指しているのは、

空間価値を高め、未来へ残る建築物にタイルを施す。

完成した瞬間だけ美しいのではなく、

10年後も、

30年後も、

50年後も、

「この空間は美しい。」

そう感じてもらえる仕事をしたい。

そのためには施工技術だけではなく
設計者の想いを理解し、

空間全体を考え、

一枚一枚のタイルを丁寧に納めていく。

その積み重ねこそが、建築の価値をつくると信じています。

横浜OMO7で見たタイルは、改めてそのことを教えてくれました。

私もまた、一人の職人として未来に残る仕事を、一枚一枚積み重ねていきたいと思います。

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